10憶で始まった結婚は○○だった
 ウィーヌが逮捕された事は、号外で国民にも知らされた。

 25年前の馬小屋の火事を引き起こしたのもウィーヌである事も報じられている。
 その火事はミネルを殺害するための者だったことも…。


 号外を見て国民は納得していた。
 ウィーヌにはよからぬ噂が聞こえていた。

 自分が産んだ子供も、虐待しているにではないかと言われていたくらいだった。



 長い年月を経て。
 諸悪の根源であるウィーヌが逮捕され、国民の間でもやっと安心して眠れるという声も上がってきた。




 
 ウィーヌの逮捕を号外で見たセレンヌは、とても安心していた。

 娘のファリサを拉致監禁した時は、証拠不十分で逮捕されるまでは至らなかった。


 やっとセレンヌも肩に荷が下りてホッとしていた。



 病院屋上に来て、一息ついて空を見上げたセレンヌ。

「よかったですね。これで、もうなにも思い残すことはないですね」

 隣にいるぺリシアが言った。

「はい。…これで、私は本当に死んでしまったことになりますから。吹っ切れそうです」
「それは良かった。もう過去に縛られないで、前を見ていきましょう」

 そう言ってぺリシアは熱い目でセレンヌを見た。

「私の気持ちは変わっていません。貴女がどんな姿であろうと、全く関係ありませんから。この先の人生、私と一緒に幸せを作って下さい」


 迷った目をしたセレンヌ。
 だが、もう自分はこの世に存在しない…それならここで、もう一度別の人と一緒にやり直すのもいいかもしれないと思った。


「私、表には出られませんがそれでもいいのですか? 」
「そんな事は構いませんよ。一緒にいられるだけで、幸せですから」

「それに、あなたより随分年上ですが。それでもいいのですか? 」
「そんなん事は気にしたことがありません」

 そっか…。
 それなら、もういい…私も前を見てゆかなくては。
 ファリサも幸せになる道へ進んでいるのだから。

 セレンヌはそう思った。

「分かりました。こんな私でよければ、この先一緒に…」


「それはダメです! 」

 セレンヌの言葉を遮るように声が聞こえた。

 驚いてぺリシアが振り向くと…。


 そこにはサーチェラスがいた。

 誰もいないと思っていた場所に、突然現れたサーチェラスにぺリシアもセレンヌも驚いた顔をしていた。


「国王様…どうしてここに? 」
「申し訳ございません。そちらの先生に、お話がありまして探していたのです。他の先生から、屋上にいるとお聞きしたので来てみました」

 今来たというのだろうか?
 全く気配を感じなっかったが…。

 ぺリシアは堂やって来たのだろうか? と、ちょっと疑問を感じた。

 
「ぺリシアさん。大変申し訳ございませんが、そちらの女性は貴方と添い遂げる事はできません」

「それは、何故でしょうか? 」

 サーチェラスはじっとセレンヌを見つめた。
 そしてゆっくりと歩み寄って行った。
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