天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
第21話


第21話

バイバイ、変態




野球部マネージャー 筒井ミク
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「「「「「・・は・・・?」」」」」


昨年の秋以来・・グラウンドの隅に置かれたパイプ椅子に座って、

白衣銅像になるその姿が初めて“不在”の状態で始まろうとしていた練習。


明後日から兵庫へ移動して、
開会式まで現地で過ごす・・・

そんな・・開幕に向けてますます盛り上がっていた士気の中・・


「・・・・・・・・・・・。」


「「「「・・・・・・・。」」」」


教頭先生から告げられた“報せ”に・・
私も・・みんなも・・・・


「なんで・・・?
なんで変態が辞めるんだよ!?」


黙り込んだすぐ後、やっぱりここも声出し隊長が一番に声を上げてくれた・・。



「“一身上の都合”としか・・申し訳ない。

私も阿部先生にお伺いしたのですが、
結局、明確な理由がよく分からず・・。」


「「「「「・・・・・。」」」」」


すごく・・すごくなんとも言えない微妙な空気が流れる。


誰も・・[変態抜きでどうやって甲子園で戦うんだよ!?]とは言わない。


県大会もほとんど中村くんや龍ちゃんが中心となって作戦を決めてたし・・

むしろ“送りバント”をする度に、
ベンチで小言を呟かれてたし・・。


でも、みんなが迷った時、
みんなが苦しい時、

ニチャァ小言に救われた事もあったし、

阿部先生の“即断即決”の伝令で、
迷いが吹っ切れた事もあったし・・


だから誰も・・[まぁ変態が居なくても余裕でしょ!]とは言わない・・。


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