35cmの音
俺はいつも一人だった。誰かが敷いた大きくて丈夫なレールの上を
“将来、お前はここに立つんだよ”
先の見えないその道をずっと一人で歩いてきた。
そこには
“大人の言うことを聞いていればいい”
俺の意思や感情や努力も才能もいらない。
ただ立ち止まることなく
“そうすれば立派な人間になれるから”
大人たちが造り上げてきたレールの上を
“だからお前は何も考えるな”
何も考えずに
ただひたすら一人孤独に歩いていくだけだった。