お願い、あと少しだけ
愛し合ったあと、弘樹は腕枕をしていた。

「弘樹・・・愛してる。この1週間、ずっと弘樹のこと想ってた。私ね、弘樹と最初に会った時から、ちょっと気になってたんだ」

「僕も、だよ。新人研修で初めて会った時から。彼女はいたけど、可愛い子がいるなぁ、って気になってた。あんなに毎週、会ってたのにお互いに気持ち、隠してたんだね」

「やっと・・・思いが叶ったね」

「そうだな。あのままサヨナラにしなくて、本当によかった」

「弘樹が大阪に行っても・・・ずっと想ってる。私たち、大丈夫だよね?」

「愛してる、奈緒子。向こうに行っても心のそばにいるのは奈緒子だけだ。僕たち、離れても絶対に大丈夫だよ」

そっと、キスをする2人。

「なんか、幸せだなぁ。愛してる人がいるって幸せだなぁ。こんな気持ちになるのは、初めてかもしれない。今まで付き合ってきた人はいたけど、こんなに深く愛したのは、弘樹が初めてよ」

「奈緒子・・・いつか、大阪に来ないか?」

「えっ?」

「転勤願、出してみるんだよ。すぐには叶わないかもしれないけど、もしかしたら、大阪に来れるかもしれない。そしたら、一緒に住もう」

「弘樹・・・」

「いつか、結婚しよう・・・って、付き合ってばっかりでプロポーズもないもんだけど・・・いや、正式なプロポーズはちゃんとするけど。結婚を前提に考えてくれないかな」

「弘樹、嬉しい。私、転勤願、出してみる」

自然と、涙がはらはらと流れてきた。

「泣くなよぉ。明るい未来の話をしてるのに」

「だって、嬉しくて。弘樹が、そこまで考えてくれてるのが嬉しくて」

「・・・僕、先走ってる?」

「ううん、そんなことない。私も同じ気持ちよ」

「よかった。・・・明日は、自由が丘でパンケーキと・・・3時から、みんなに会って、それから、奈緒子とディナーだな」

そのあと、行っちゃうんだよね。奈緒子はこっそり思った。

「明日は、ゆっくり寝て、起きたら、もう一度、奈緒子食べる」

「っっっ!!」

さっきまでのことを思い出し、奈緒子は赤くなった。

「おやすみ、奈緒子」

「弘樹、おやすみ」

今日はなんだか、素敵な夢を見られそう。
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