お願い、あと少しだけ
同期のみんなとのお別れ会
奈緒子が少し服を見て回ると、約束の時間の10分前だった。

「もうすぐ3時だ。行こうか?」

「うん」

オー・ド・シエルに着くと、いつものなじみの顔がそろっていた。

「ヒロ、ナコ、週末は楽しめた?」

奈由美が、笑顔で言う。

「あぁ。昨日は横浜に、今日は自由が丘に行ってきたよ」

亜由が奈緒子の耳元で言った。

(弘樹にはもう食べられたの?)

「もうっ!・・・それは・・・秘密だよ」

奈緒子が真っ赤になって言った。

「YES、って意味ね」

亜由がちゃめっけたっぷりに言った。そして、ふと気づいて

「そのエメラルド・・・弘樹から?」

「うん・・・これから結婚前提につきあっていこうって」

「すごい進展だな!」

勇樹と尚斗が声を合わせて言った。

「とりあえず、弘樹、これ・・・荷物になるかもしれないけど」

色とりどりの花束を奈由美が渡した。

「ありがとう、みんな。向こうに行ってもお前らのこと忘れない」

弘樹は、ひとりひとりとハグしあっていた。

「とりあえず、お茶しよ。・・・最後の夕食はふたりっきりで、なんでしょ?」

亜由がからかい気味に言った。

「あぁ・・・向かいの高層ビル20階のイタリアンレストランを予約してる」

えっ・・・弘樹、いつのまに?

「じゃあ、とりあえず、ソフトドリンクで乾杯と行きますか。弘樹、いつもリーダーシップを取っていたお前が栄転するのは喜ばしい。奈緒子に悪い虫がつかないように俺たち、見張ってるから、お前も浮気するなよ。かんぱ~い!!」

尚斗が乾杯の音頭を取った。

「乾杯!!」

2時間と言う時間制限はあっという間だった。弘樹と奈緒子はさんざんひやかされ、みんなの前でキスまでさせられた。

みんなとは離れがたく、店の前でずいぶん長いあいだたむろしていたが、レストランの予約時間5時半が近づいたので、本当に別れがたかったが2人はレストランに向かった。
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