Hey girls! 調子はいかが?2
1章

1節・受験生



 あれから2年がたち、受験生となった瞳は一人で病院に来ていた。


「倉内さん、診察室にお入りください。」


 アナウンスがはいり、診察室へと入っていく。2年前、緊張しながら病院に連れてこられた時とは大違いな、緊張している素振りのない足取りである。


「遠藤先生、楓先生、こんにちは!」

「お、瞳ちゃん来たねえ。」

「はい!」

「勉強ははかどってる?もう受験生になるもんね。」

「そうそう、3年生になっちゃったから勉強もがんばらなきゃいけないんです。」


瞳は笑って答える。


「じゃあ今年もしっかり喘息のコントロールしていこうねー。」

「はい。」

「今日は心臓の方だね。じゃあ楓と変わるよ。」

「はーい。」

「診察頑張ってー。」


ひらひらと手を振って琴美は楓の1歩後ろに下がる。



 2年前。心電図の波形がおかしいと言われて、病気だと言われた。不整脈は相変わらずだし、違和感があることもまあ普通にあるんだけど、特に制限がかけられているわけではなく、今まで通り普通に過ごしてきた。毎回検査結果を聞くときは割と緊張するんだけど、変化はなくて、経過観察が続いていた。


「じゃあ瞳ちゃん、前回琴先輩の時に外してもらったホルター心電図の結果が出たから見せるね。」

「はい、お願いします。」


 不整脈の様子を見るために年に数回、喘息の診察の後にホルター心電図を付ける。普通に行う心電図だとその時に不整脈が出るともかぎらないからだ。一日つけていた方がより正確な診断に近づけられる。


「よし、それじゃあデータ見ていくね。」


 楓がそういってコンピュータに向かい、瞳と琴美で画面を覗き込んだ。


「それじゃあ、琴美先生呼ぶね。」

「うん。」


 瞳の場合、心臓の診断は主に楓、喘息の診断は主に琴美が担当しているが、それぞれの治療のことや薬の飲み合わせのことなどいろいろあるということで外来での診察の時は特に楓も琴美もそろって診察室に顔を出すことが多い。


「ほう…。」


 琴美が意味ありげな声を漏らした。


「…。」


 楓は楓で琴美に視線を投げ、瞳には分からない意思疎通を二人で行っている。
 瞳は少し不安げな様子で2人の顔を交互に見上げた。
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