ちよ先輩のてのひらの上。


「……からかわれてるんだってこと、ちゃんと自覚してたつもりだったの。……でも……、いつの間にか、……もしかしたらって期待しちゃってた……」

「ひなたちゃん……」


再び溢れてくる涙を、真白ちゃんが拭ってくれる。

水色のハンカチは、すっかり湿って、青色へと変化していた。


「……紺野くんの言ってたことは、こういうことだったんだ……」

「……」

「こうやって、優しくされて、自分は特別なのかもって勘違いしちゃう女の子が、たくさんいたんだね……」


忠告されていたにも関わらず、……私もまんまとその1人になってしまったというわけだ。

寂しく言った私を見て、真白ちゃんは意を決したように、


「……そしたら、さ。これをきっかけに、紺野くんの言う通り、……ちよ先輩とは距離を置いてみたらどうかな」

「え……」


思わず、濡れた目を隣に向ける。

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