甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

「…先生」
「そんな可愛い顔で見上げたらダメだって言わなかった?」
「…今のは、わざとだって言ったら、…引いちゃいますか?」


『そんな可愛い顔で見上げられたら我慢出来なくなる。今日まで必死に紳士に徹していた俺を褒めてほしいくらいだよ』

以前言っていた先生の言葉を思い出した。

自分がどんな顔をしてるかなんてわからないけど、先生の紳士に徹している以外の顔が見たいと言ったら、先生はどう思うだろう。

そんなことを考えながら見上げていると、一瞬驚くように目を瞠った後、ギラリと鋭い光を宿した瞳を細めて私を睨むように見つめ返し、噛み付くようなキスを仕掛けてきた。

「ん…っ、んぅ」
「悪い子だ」

唇ごと食べられてしまいそうなキスは初めてで、息さえも奪われる。唇を合わせたまま身体の向きを変えられると、ひょいと抱き上げられた。

「んんっ!」

宙に浮く感覚と、キスの息苦しさにトントンと胸を叩いて解放をねだると、「君が煽ったんだよ」と熱く切なげな眼差しで私を見下ろし、左手の1番奥にある扉を目指して歩き出す。

その手前には大理石で作られた大きな洗面台とシャワールームが見えたけど、当然のように通り過ぎてベッドの上に下ろされた。


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