甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

◇◇◇

健診の現場が少なくなってきた7月中旬。
所内で仕事をしていた朱音ちゃんと2人、C健の近くにある定食屋さんでお昼休憩を取っていると、突然「そういえば」と声を上げた。

「放射線技師の間宮さんと昨日現場一緒だったんだけど、遥ちゃんに謝っておいてほしいって言ってたよ」

朱音ちゃんの口から語られた『間宮さん』の名前に、ドキンと心臓が嫌な音を立てた。

名取フーズの健診最終日にレントゲン車の中で告白されて以来、私は自分が入る現場には間宮さんをオーダーしないようにしていたし、逆に間宮さんが来てくれる現場には入らないようにしていた。

彼のことは嫌いじゃない。
むしろ同年代として私や朱音ちゃんとも仲良く話してくれる気さくな技師さんで、車でのマーゲンの撮影にも慣れていたから仕事上でもとても助かっている。

だけど、どうしても車内での事を思い出すと気まずくて、会わないで済むのならそのままでいたいと、ズルいことを考えてしまっていた。

「…なにかあった?」
「うん、ちょっと…」

悠さんと付き合うことになった時も朱音ちゃんには自分から報告したけど、間宮さんのことは言えなかった。

現場責任者を務める立場の彼女に伝えてしまえば、今後間宮さんがC健の現場に来辛くなってしまうんじゃないかって思ったから。


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