甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

今日のランチは創業100年を越える老舗洋食屋さんでタンシチューを食べた。

口の中でとろけていくお肉に驚いてフリーズした私に、先生は「わかる。初めて食べたとき俺もそんなリアクションだったと思う」と微笑みながら共感してくれた。

今日は車じゃなく電車で来たので、先生はオーダーしたビーフシチューに合う赤ワインを飲んでいる。

食事をしながらワインを飲むだけで優雅な雰囲気になる先生は、もはやどこかの国の王子様のよう。

思わず見惚れていると「遥も飲みたい?」と訊ねられた。

「いえ、赤ワインがお似合いになると思って…」

バカ正直に答えると「なにそれ」とクスっと笑われた。

「夜はこの上のバーで飲もうか。ここなら遅くなっても問題ないし。この前約束したでしょ」

前に来た時、美味しいカクテルの飲めるバーに行こうと言ってくれたのを覚えていてくれたらしい。

「はい。楽しみです」

嬉しくてつい満面の笑みで答えてしまったけど、先生は急に真顔になった。

「…先生?」
「遥、意味分かってる?」
「え?」


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