△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~



 「あ………」
 「?どうしました?どこかでお会いした事がありました?」
 「い、いえ。初めまして、美作虹雫です」
 「副社長の一条里枝です。よろしくお願いね」


 年上の余裕なのだろうか。綺麗な笑みで虹雫に挨拶をする一条は気さくさの中にも上品さを感じられる。そんな女性だった。
 宮なこの女性と会っていた。副社長という役職から仕事関係かもしれないと思ったが、宮が何故出版社とやり取りをしていたのか、虹雫にはわからなかった。
 近くで見る一条は、年上とは思えないほど艶やかで色気のある女性だった。タイトスカートにシャツというシンプルな服装だが、体のラインがしっかり出る服だからか、女性らしさが際立っていた。

 そんな彼女の案内でフロアの一室に案内された。そこは、大きな窓があり高層ビルならではの空が近い景色が広がっていた。打ち合わせ場所なのか、ドーナッツ型の大きなテーブルが置かれていた。窓に1番近い椅子をすすめられ、虹雫が腰を下ろすと、隣に一条が座った。他のスタッフが温かいお茶を運んできてくれる。それを見送った後に一条が口を開いた。


 「お若い方だと思っていたけど、想像以上に若い女の人で驚きました。あそこまで心情を丁寧に表現して、言葉選びも綺麗。音読をして読みたくなる文章ね」
 「あ、ありがとうございます」
 「さっそくだけど、美作さんの作品を当社でぜひ出版させていただけないでしょうか。あなたは必ず注目される作家になると私たちは自信を持っています。報酬などはしっかりお支払しますし、広告もトップ作家と同じぐらいするつもりです。何せ、あなたの小説を読んだスタッフですでにファンになってる人は多いんですよ」


 出版社の人で、しかも副社長という地位のある人にここまで褒められると思っていなかった虹雫は嬉しさもあったが戸惑ってしまった。


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