△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~



 「宮さんも、そんな顔するんですね」
 「……どんな顔をしていた?」
 「余裕なくて、怒りに任せて人を殴りそうな顔」
 「………」
 「俺はそういうの好きだけどねー。人間臭くて。俺にはそういう大切なものってのないもんでね」


 ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら楽しそうに見てくる蜥蜴。宮は小さく息を吐いて、気持ちを落ち着かせ後に口を開いた。


 「話を戻そう。この写真が撮られた後、移動した場所のものは?」
 「さすがに個室はないけど、ロビーのはあったよ。彼女を抱きかかえながら入っていくのはばっちりと。それは写真にしたら顔とかが上手く映らなかったから動画だけ。写りが悪くても一応欲しいなら今度渡すよ」
 「貰っておく」
 「りょーかい。次のは決定的瞬間のだから大切にしてよ」


 蜥蜴に言われて、写真が複数枚あるを知り、もう1枚をみる。
 それを見ると、吐き気がするほどの不快感を覚えた。そのため、すぐに写真を茶封筒に戻した。


 「動画が入ってるデータと、このおじさんの情報、そして出版会社の幹部リスト。俺のおすすめは女副社長さんかな。独身で、若いイケメンには目がないみたい。宮さんみたいなね」
 「その副社長と会えるか?」
 「それは別料金」
 

 テーブルの上で手を組み、首を傾げながら、可愛げのない事を言う蜥蜴だが、それについては宮も大体予想をしていた。カバンから、分厚い封筒を取り出して、彼に渡す。


 「これで頼む」
 「いくら入ってるの?」
 「50万。足りるだろう?」
 「宮さんは、話がはなくて助かるよー。副社長さんの事は任せて。ちょっと多く貰いすぎだから、何か気になったら連絡くれればお答えもしますよ」
 「何かあったら連絡する」


 宮はそう言い残すと、伝票の上に千円札を置いて立ち上がった。
 が、蜥蜴はまだ話す事があったようだ。


 「……宮さん。最初の約束、忘れてないですよね?」


 先程までの笑みは消え、真剣な視線でまっすぐに宮を見据える蜥蜴の目を強かった。
 けれど、そんな事で動じる宮ではなかった。
 もっと大切な約束を沢山背負っているのだから。


 「あぁ、忘れてない。覚悟は出来てるさ」
 「それを聞いて安心しました。それでは、ご武運を」


 紙袋を持って去っていく宮を蜥蜴はにこやかに手を振って見送ったのだった。





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