Livre magic〜終わりの始まり〜

三 悲しい夢

僕が目を開けた時、そこに広がっていたのは果てしない闇だった。周りには誰もいない。リオンも、エリカも、誰一人いない。

しばらく考えた後、この世界は現実のものではなくて、僕自身が見ている夢の世界なのだとわかった。

「目が覚めるまでは、ここにいるしかないのか……」

僕はそう呟いて体を起こす。これがもし現実だったら、気がおかしくなってしまいそうだ。夢でよかった。

その時、僕の周りがぼんやりと光り始める。その光の中から何かが出てきた。

「えっ……」

光の中から現れたのは、僕が倒した物の怪だった。一体だけじゃない。何体もいる。僕はこんなにもたくさんの物の怪を倒したのか……。

今の僕は、魔法の杖もいつもの剣も何もない。でも、この物の怪たちを倒そうとは思わなかった。なぜなら、この物の怪たちは泣いていたから……。

「どうして泣いているの？」

物の怪たちは、戦った時とは違い知能があるようだった。僕が問いかけると物の怪の一体が僕の前に立ち、その場に跪く。