待ち人、音信なし

河で転んで、携帯なくして、上司に探させて……。
今からでも、諦めますと言いに行けば……。

行けない自分がいる。

じわりと視界が滲む。

ノアさんのことが、好きだと思う。

私があの留守電を大事にしていて、諦めろと言いながらも探してくれるノアさんを好きだと思う。

とても傲慢だ。

戦争に行って還って、更に傷ついたノアさんが、ここに来てくれて良かったと思っている。

最低だ。

好きって、こんなに汚い気持ちだったっけ。
こんなに、狡くて、浅はかで、認められない……。

涙を拭う。ノアさんは私が泣いてばかりいると思ってるんだろう。

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