世界でいちばん 不本意な「好き」
そうだよ、ごめん、って、言われちゃう。
だってふみとは、大切にしなくちゃいけない人たちがたくさんいる。
わたしには受け入れる自信がないよ。
「そんなに淋しいことにこだわらなくても、アリスにはたくさんの一番があるだろ」
予想をしていなかった返事に目の前がシロクロした。
「ないよ…」
「あるよ」
そんなことどうだっていいのに、まるで、なんでわからないんだと言う目で見つめてくる。
「…じゃあなに」
「まず、世界で一番かわいい」
「は…」
「一番優しい。一緒にいて一番楽しい。一番先生に頼られてる。友達想いだし、がんばり屋でもあるよね。誰かのために悩んだりできるの、アリスのすごいところだよ。俺はそう思う」
そういう意味の一番じゃない。的外れだ。だけど本気で言ってることが伝わって、泣きたくなる。
「アリスはもっと自分に優しくしたほうがいい。そうしていいんだよ」
だけどそれは、お姉ちゃんも、お母さんたちも、きっと思っていないよ。
「うまくできる気がしない…」
「それなら俺が、いっぱい優しくする」
ふみとも結局、こたえてくれない。
「だから泣いていいんだよ」
だけどふみとはいつまでも涙をぬぐい続けてはくれないでしょう。
帰っていく。
自分がいた場所へ。いるべき場所へ。
わたしとはちがう。
「泣かないよ。…化粧がくずれるもん」
星が夜へ帰るように、ふみとはいつか、いなくなっちゃう。
それがとても、こわいの。
今は何よりも、こわいの。
好きだって言ってくれるのに、ごめん。