テスト返却
3

「愛ちゃん、大丈夫?」
うみちゃんが私にそう声をかけてきてくれた。うみちゃんと私は文系と理系で授業が違う。だから何で声をかけてきてくれたのだろうと思っていたら、いつの間にかテスト返却は終わり、休み時間になっていたようだ。
「テストの結果が悪くて…。私ね、テストの前になるとクラスのみんなと比べちゃって頑張れないの。」
「…なるほど。でも、私は愛ちゃんが思ってるより愛ちゃんは頑張ってると思うよ。」
私はうみちゃんの言葉に驚き、涙が再び出てしまった。
「…そんなことないよ。」
「ううん、そんなことあるの!頑張ってなきゃ『私は頑張れてない』なんて言わないんだよ!人によって頑張り方は違うかもしれないけど、結果がともわなくても愛ちゃんは頑張ってる!」
「ありがとう…。でも違うの。頑張ってないから今回のテストの結果も悪いし。それに、私はうみちゃんみたいに一日に何時間も勉強してないよ。」
「私は愛ちゃんと出会って間もないから知っていることは限られてるけど、私は愛ちゃんが頑張ってることは知ってるよ。愛ちゃんが『自分自身のことを嫌いだ。』って言ってるけど私は愛ちゃんに愛ちゃんのことを好きでいて欲しい。だって、私にとって愛ちゃんは大切な存在だから!!」
「…。」
私はうみちゃんの言う私が別人のように思えた。私が知っている私とうみちゃんから見えてる私は全然違うのだ。
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