愛して先輩っ! XXX
私の瞳が瑠衣くんの瞳をとらえた、その瞬間。

瑠衣くんが私からパッと目をそらした。

そして、体が離れる。

完全に横を向いている瑠衣くんの頬は、夕日のせいなのか、赤く染まっていた。



「る、瑠衣くん? 顔赤いよ?」

「分かってるっ!」



どうしたんだろう。

瑠衣くんは、『あー』とか『うー』とか、呟きだしたし。

こうやって見ると、普通の男の子に見えるんだけどな。

少し、意地っ張りな部分はあるけれど。


……なんて思っていると、瑠衣くんは聞き取れないくらいの小さな声で呟いた。



「僕、……わかっ……ちゃった、かも」

「え? なんて言ったの?」



聞こえなかった。

と、言うと瑠衣くんは、少し頬を膨らませて。



「僕、“初恋”っていうの、分かっちゃったっ」



と、ちらりと私を見ながら言った。



「は、はつこい?」

「うん。僕、奈々ちゃんのこと、好きになっちゃった」



不意打ちすぎる言葉に、今度は私が顔を赤くする番だった。



「奈々ちゃん、顔赤いよー?」



誰のせいだと思っているんですか。

……と、言えない私は、熱くなった頬を押さえることしか出来なかった。
< 49 / 129 >

この作品をシェア

pagetop