愛して先輩っ! XXX
「祐樹先輩……?」



祐樹先輩の声が耳もとで聞こえる。

私をバケツの水から、かばってくれたのは祐樹先輩だった。



「奈々ちゃんっ」

「奈々っ」



瑠衣くんと星矢くんの私を呼ぶ声が聞こえる。


私は大丈夫。


そう言おうとしたとき、祐樹先輩がゆっくり私から離れた。



「てめぇら、なに考えているんだ」



私の目の前に立った祐樹先輩。

ギャル集団と大和撫子さんに向かって、聞いたことないような、怒り混じったような低い声が響いた。

星矢くんも来てくれて、座り込んでいる私をそっと抱きしめてくれた。



「奈々、こっち」



星矢くんに連れられて、少し離れた場所に移動する。

ハンカチで少しだけ濡れた髪の毛を拭いてくれる星矢くん。

でも、私より祐樹先輩がのほうが濡れちゃっている……。


祐樹先輩はギャル集団を睨んでいて。

ギャル集団たちは、祐樹先輩の眼力に怯えてはいたけれど、逃げることはなかった。



「なんで、こいつのこと守るのよ! 黒崎くんも頭おかしいんじゃないの!?」



ヒステリックに叫ぶギャルボス。

それを冷たい目で睨んでいる祐樹先輩。

祐樹先輩だけじゃなくて、星矢くんも瑠衣くんも同じ目をしていた。

ピリピリとした空気。
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