最低で最高のホワイトデーを
家に帰る前に一休みしようという話になり、近くにあった公園のベンチに腰掛ける。涼ちゃんが水を買ってきてくれて、お礼を言って受け取るとあっという間に飲み干してしまった。

「涼ちゃん、ありがとう。おかげであの人と別れることができたよ」

夕焼けを見ながら、隣に座る涼ちゃんに言う。涼ちゃんは「うん、本当によかった」と言いながら私の頭に触れた。

「ねえ、俺からのホワイトデーのお返し、受け取ってくれない?」

夕焼けを見始めて数分後、涼ちゃんが言った。そう言えば、涼ちゃんから貰っていないことを思い出し、私は「うん!」と頷く。去年は確か、チョコレートの詰め合わせだった。今年は何なんだろう……。ドキドキする。

「気に入ってくれるといいけど……」

涼ちゃんが取り出したのは、勝理くんのお返しとは比べ物にならないくらいおしゃれな袋。

「開けていい?」

そう訊いてから袋を開ける。おしゃれな袋の中にはおしゃれな箱。箱を開けると、ピンクゴールドのバラをモチーフにした可愛らしいネックレスだった。
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