隣の部屋の新人くん
「何年?何年で帰ってくるの?」
「期間は決まってない。三年かもしれないし、十年いるかも」

佳弥が優しい目をして私を見る。

どうしよう。イスラエル。
佳弥がイスラエル。

でも、私も28だし、これを逃したら一生独身かもしれない。
グローバルな男には海外転勤が付きものだ。
これくらいのことでいちいち嘆いてたら、佳弥を逃してしまう。

私はすぐに決意した。

「私は大丈夫だよ」

そう言って頑張って笑顔を向ける。
佳弥がホッとした表情になる。
そして言った。

「じゃあ、ときどき遊びにおいでよ」

ああ、優しさは、ときどき無情。
そんな返しは求めてなかった。

佳弥の声が私の心に鈍く響いた。

一カ月後、私を日本に置いて佳弥は行ってしまった。
本当にイスラエルのテルアビブに行ってしまった。
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