サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

◎ 君島詩織との出会いと別れ -優斗-


2年に進級し、可愛いと評判の君島詩織と同じクラスになった。

なるほど、確かに可愛い。

ただ可愛いって言うだけで、なぜかいつも詩織を目で追っていた。

友達と楽しそうに笑い合う時の声、先生に指されて答えが分からないと目を潤ませて恥ずかしそうにする姿。

すべてが愛おしかった。


何度目かの席替えで詩織の隣の席になった時、

「椎名くんっていつも寝てるよね。毎日お疲れ様なの?」

そう話し掛けてきた。

こいつは俺がサッカー部でトップチームにいることを知らないのか?

2年だったら俺のことを全員知っていると勝手に思っていたから俺は自分の自意識過剰さが恥ずかしくなった。

「俺、サッカー部でさ。毎日練習が大変なの。だから寝ているときは話掛けんなよ」

そう言って机に突っ伏した。

なんだよ、今の俺の言い方! 話し掛けんなよって。

どんだけ上からなんだよ、俺。

こいつと接していると調子が狂う。

いつもの俺が出せずにイライラする。

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