サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

私たちは保健室を後にして、3年生のフロアまで一緒に歩いた。

と、私の教室の前に那美と話している恭介がいた。

恭介が私に気付き、目を見開く。

「しお・・・り?」

私が午後の授業をサボったことにも驚いたようだったけど、私の隣にいる人物を見て、さらに驚いた様子で。


「なんで、優斗先輩が一緒にいんだよ」


そう叫んで恭介が私たちに詰め寄る。


「あの、恭介。これはね、その・・・」

「詩織、ちょっと黙ってて。俺は優斗先輩に聞いてる」

恭介と優斗くんは睨み合ってる。

どちらも譲らない目をしている。

騒ぎを聞いて野次馬が廊下に出てきて。

2年生のフロアまで恭介の叫んだ声が届いたのか、2年生までが様子を覗きに来た。

ちょうどその時、次の授業の予鈴が鳴り、野次馬の中にいた恭介の友達の佳希くんが、

「恭介、教室帰るぞ」

と、力ずくで恭介を連れて行った。

廊下にいた野次馬たちも、何ごとだ? と言いながらも各々のクラスへと戻って行った。

私は咄嗟に那美の手を握り、

「那美、次の授業サボろ!!」

そう言って那美の返事も聞かず、那美を拉致した。
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