サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

◎ 優斗くんへの最後のエール -詩織-


全国大会前日。

早めに練習が終わったからと、恭介がうちに寄ってくれた。

恭介はお母さんとも仲良くなっていて、自分の家に帰ってきたように入ってくる。

「詩織、ただいま」

「うん、おかえり、恭介」

ふふっ。なんか変な感じ。

「恭介、明日から大会なんだから早めに帰って休まなきゃ」

「明日はオール3年で出場だから、俺たち下級生はベンチに入れないの。応援だけだから、ずっと詩織の家にいられるの」

「そうなの? 明日恭介は出場しないの?」

「うん。正直、明日の相手は強いんだよ。勝てるかどうか微妙でさ。先輩たちはそれを思ってても口には出さないけど。もしかしたら引退試合になるかも知れないだろ。だからオール3年で出場するって決めたんじゃないかな」

「そうなんだ。ウチも強いのにね。相手はもっと強いのかぁ」

「2年のBチームは裏でのサポートだから、詩織とは一緒にいられないんだけどさ。那美ちゃん先輩と来るんだろ? 3年の先輩たちの応援、よろしくね」

「うん、もちろんだよ」

「明日も寒いから暖かい格好してくんだぞ。詩織は受験も近いんだし」

「そうするね。ありがと」

ずっとウチにいられる、とか言いながらも恭介は早めに帰って行った。

チームの試合だもんね。出場しなくても緊張はしてるよね。

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