サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

私は恭介の手を取り、歩いてきた道を戻った。

「ね、詩織。これって無意識? それとも意識してる?」

恭介が『これ』と言って指差しているのは私が握っている恭介の手。

「はっ! いつの間に手を繋いだの? やだ、恭介」

「やだ、恭介ってさ。あなたが繋いできたのよ。積極的なのね、詩織ちゃん」

恭介は笑いながら冗談っぽく言う。

そんな恭介にはいつもこうしてドキドキさせられるから悔しくて。

「じゃ、じゃあ手を離すもん。いいの? 恭介」

「ダメ。ずっと繋いでいて」

恭介はダメって言いながら繋いでいる手を恋人繋ぎに変えて、

「ほら、これでもう離れないよ。ねっ」

私はその繋いだ手を見て、真っ赤になる。

「ね、詩織。大学生の男に慣れないで。ずっとずっと俺だけの詩織でいて」


離れてしまうことへの不安を口にする恭介。

私の恭介に対するこの気持ちは変わらないよ。

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