サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

この頃から那美が頻繁に会いに来てくれるようになって、会うたびに優斗くんの話を私にしてくる。

優斗くんは大阪のJリーグチームでとても活躍しているらしいの。

いつも那美が興奮気味に優斗くんがどんな活躍をしたのか教えてくれる。

「せっかくテレビで試合が観られるんだから、たまには詩織も優斗のことを応援すればいいのに」

那美にそう言われてもテレビで優斗くんを応援することはしなかった。

那美が優斗くんの話をするたびに、私は優斗くんの哀しい顔しか思い出せないの。

優斗くんとお付き合いをやめたとき、あの時私は優斗くんの気持ちを考えることができなくて、私の感情だけでお別れしたいと伝えた。

それでも優斗くんは別れてからもずっと私のことを想い続けてくれて、大阪へ一緒に来て欲しいとまで言ってくれた。

それなのに私は恭介を選んだ。

どれだけ優斗くんを傷つけてしまったのか。

恭介を追い掛けろと私の背中を押してくれた優斗くん。

あの時、優斗くんはきっと泣いていた。

私のことを想ってくれていたのに、恭介のところへ行けと言ってくれた。

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