サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

休み時間、俺は大体机に突っ伏して寝ている。

そんな時にも詩織の声だけは聞き分けられた。

詩織の優しく笑う声が好きだった。

そんな片想いしているような日々を過ごしていたある日、次の授業が移動教室だということを忘れていた俺は休み時間に相変わらず爆睡していた。

そんな俺を見てバカ拓海が俺を起こさずに皆で移動しちゃおうぜ、って企んでいやがって。

クラスの全員が移動したあと、誰かが戻ってきて俺に声を掛けてきた。

「椎名くん、次の授業、移動教室だよ。起きて」

俺はその声だけで詩織だと気付いた。

「んー? あれ、皆は? やべっ! もう遅刻してね?」

「うん、遅刻だね。一緒に行こ。あっ、その前にこれ・・・。」

そう言って詩織がハンカチを俺に渡してきた。

なんだ? 俺にプレゼント?

俺がポカンとしていたら、

「椎名くん、ココ」

と言って詩織が自分の口元を指して見せた。

手で自分の口元を触ると、よだれか? よだれなのか?

俺、超ハズカシイんですけど・・・。

「ふふっ、本気で爆睡してたんだね。こんな短時間で凄い」

「あーーー。ハンカチごめん。汚しちゃうから、いいよ。返す」

「大丈夫だよ、使って。椎名くんの分身をちゃんと拭いてあげて」

そう言って返そうと差し出したハンカチを詩織は押し返した。

分身って・・・・。 言い方が可愛くないか?

俺は多分だけど、赤面していたと思う。

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