規制アプリ
☆☆☆

連れてこられたのは近所の公園だった。


ベンチと広間があるだけの小さな公園で、こんな場所を知っていると言うことは一樹の家ははやり近いのだろうということがわかった。


ベンチに並んで座るとものすごく居心地が悪くて、ベンチの端ギリギリまで移動した。


いざとなればすぐにアプリを使って一樹の動きを規制するつもりだった。


そのため、両手で自分のスマホを握り締めた。


「昨日コンビニにいただろ」


聞かれて心臓がドキッと大きく跳ねた。


あの時やっぱり見られていたみたいだ。


声をかけられなかったから気がつかれなかったかもと期待していたが、ダメだったようだ。


あたしはうつむいてスマホを見つめた。


どう返事をするべきだろうか。


「あの時話してたのは前の学校の友達か?」


予想外の質問にあたしは瞬きをする。


一樹は怒っている様子でもなく、ただ淡々と質問をしている。


あたしは緊張からゴクリと唾を飲み込んだ。


「う、うん」


それだけ答えるのが精一杯だった。


一樹の感情が全く読めない。


「あれが、お前の本当の顔か?」


その質問で頭の中が真っ白になってしまった。
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