規制アプリ
それが自分の立場を確立させるための悪口だと気がついた。


誰が1人をイジメておけば自分は安全地帯にいることができる。


このクラスはそうなって成り立ってきたから、蕾は早く誰かをターゲットにしないのだろう。


でも、あたしはそれには反応しなかった。


復讐のためにここに来たけれど、樹里たちと同じ場所まで転落する気はさらさらない。


ただぼんやりと蕾の言葉に耳を傾けていたのだけれど、それを見た重行がすぐに動いていた。


ちょうど樹里はトイレに立ったところで席が空いている。


そこに、マジックでラクガキをはじめたのだ。


「あははっ! 重行さっそくはじめたね」


蕾は楽しげな笑い声を上げるが、あたしは全く楽しさを感じなかった。


人の机に幼稚なラクガキをして喜んでいるなんて、まるで幼稚園レベルだ。


呆れてみていると、トイレから樹里が戻ってきた。


自分の机にラクガキをしている重行を見て表情が険しくなる。


「なにしてんの!?」


怒鳴りながら駆け寄り、机を確認して青ざめている。


コロコロと変わる表情は見ていて楽しかった。
< 152 / 194 >

この作品をシェア

pagetop