規制アプリ
あたしは2人から視線を外して男子生徒を探した。


野口重行と小保方一樹は、さすがに女子ばかりの輪には入ってこず、2人でなにか話をしている。


「ねぇ、聞いてる?」


樹里が眉間にシワを寄せて聞いてきた。


「うん……よろしく」


あたしは椅子の上で身じろぎをして答えた。


視線は合わさず、うつむく。


その態度に樹里は一瞬蕾と目を見交わせた。


含み笑いを浮かべているのがわかった。


「亜里沙って呼んでもいい?」


蕾に聞かれてあたしは無言でうなづく。


言葉にはしないが1人になりたいという雰囲気を出すために教科書を開いた。
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