殺人感染
入学して2日目くらいだっただろうか。


席が前と後ろだったあたしと香がまず仲良くなった。


休憩時間中2人で他愛のない会話をしているところに雪がやってきたのだ。


『ねぇ、その話あたしも混ぜてくれない?』


それは凛とした声だった。


声がしたほうへ視線を向けると、色白で綺麗な女の子が立っていた。


『いいよ』


あたしはすぐにうなづいて雪を輪の中に入れた。


『2人が話してたのって昨日のテレビで紹介されてたキャラクターのことだよね?』


『そうだよ。猫のミーヤンってキャラクター。白倉さんも知ってる?』


『あたし、ミーヤンの大ファンなの!』


雪は目を輝かせてスマホ画面を見せてきた。


背景がミーヤンになっている。


『あ、このミーヤン可愛いね! ねぇ、香ちゃん?』


あたしが話題を振った瞬間香はハッとした表情を浮かべた。


頬が赤く染まり、高揚しているのが見て取れた。


『え、な、なんだっけ?』


慌てて話題についてくる。


その様子を見て、あぁ、香ちゃんは雪ちゃんに一目ぼれをしたんだと理解した。


それはごく自然な出来事だった。


ただ、性別が女同士ということだけで、あたしの中で違和感なく受け入れられたことだった。
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