棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目
「りんりん、付き合ってあげたら?」
「えっ?」
「勇君、本気みたいだし」
「で……でも……」
りんりん、気づいてた?
この部屋に勇君が入ってきた時。
りんりんはハリネズミみたいに、
体中の針を逆立て。
全身で勇君を拒絶していたのに。
この短時間で、
二人の距離がどんどん縮まって。
今はもう、勇君を拒絶する針なんて
全て体にしまわれちゃってるじゃん。
勇君への気持ちが、
りんりんの中で
再燃しちゃったってことでしょ?
「りんりん、安心して」
僕は、
王子様スマイルを貼り付けて。
トロトロに甘い声を、
りんりんの耳に吹きかけた。
「精神安定剤の代わりなんて、
僕には、いくらでもいるからね」