棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目
「……わかりました」
悲し気に瞳を揺らすりんりんに、
王子様級の笑顔を向けてみた。
自分から手放したくせに。
最後くらい
りんりんの笑顔が見たいなんて
女々しいことを思ってしまったから。
でも
りんりんは、うつ向いたまま。
大好きな笑顔の花が咲く気配は、
微塵もない。
りんりんに食べて欲しくて、作ったお弁当を
バックに忍ばせたまま。
「りんりん、じゃあね」
作り笑いを貼り付け。
僕は、美術室を後にした。