棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目



「天音の鈴ちゃんへの想いも。
 鈴ちゃんの天音への想いも。
 もうすでに、絡まっちゃってるんじゃないの?」


「ゾルルの耳みたいにな」




 ニヒヒと笑う綺月君の指が

 画用紙いっぱいに描かれたイラストを
 トントン。




 そこには。



 顔を真っ赤にして

 恥ずかしそうに僕に抱き着く、
 ゾルルの姿が。




 ギザギザの長い耳が、左右で絡まっている。




『好きな子の前だと、左右の耳が
ドキドキで絡まっちゃうのも、可愛いかも』
 


 りんりん。

 美術室でゾルルを考えながら、
 言ってたよね?





 ゾルルが背負ってるフライパンに
 書かれた文字に、目を移す。


 なんで、
 こんな嬉しい言葉を書いてくれるかなぁ。




 『あっ君、大好き。パンダより』


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