俺と妻と傷口
家に帰り、ソファーに並んで座る。
隣に座っている奏多の腕に抱きついた。

「ん?どうしたの?珍しく甘えてる…華恋、可愛い…」
奏多が頭を撫でてくれた。

「ねぇ」
「ん?」
「膝の上に乗っていい?」
「え…?」
「ダメ?
あ、重いよね…?ごめん……変なこと言って……。
お風呂沸かしてくる」
そう言って、ソファーを立ちお風呂場に行こうとすると、奏多に手を掴まれた。
「いいよ。華恋のお願いは、何でも聞きたい。
おいで?」
そのまま手を引っ張られ、奏多の膝の上に向かい合うように跨がった。

「なんか…嬉しいな……華恋が甘えてくれるなんて」
私を少し見上げて、嬉しそうに頭を撫でる奏多。
「なんか不思議……奏多を見下ろしてるなんて」
「確かに(笑)いつも逆だもんな……」
「奏多…綺麗……」
「そう…?華恋には負けるな…(笑)」

奏多の頭を撫でた。
「やっぱ、可愛い…」
「可愛いはやだっつてんだろ!?」
「フフ…ムキになるとこも可愛い…」
「だから!可愛いって言うなよ!あんま言うなら、キス責めだな!」
「可愛い」
できればキス責めしてほしくて、わざとに言った。
「は?俺、本気だよ?キス責め」
「奏多、可愛い。可愛い。可愛い!
可愛━━━━ンンン……」
奏多に口唇を奪われた。
そのまま、頬や額、鼻にたくさんキスされた。

「もっと……して…?」
「ん?」
不安だった。
先宮さんのあの含んだ笑顔が頭から離れず、ずっとこびりついていたから。

「いいよ…でも、あんますると抱きたくなるんだよね……」
「いいよ!抱かれたい!」
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