俺と妻と傷口

【夏祭り】

「どう?奏多」
俺の前で、クルッと回る華恋。

可愛すぎる。
綺麗すぎる。
今すぐに、抱きたい……。
どうしよう。
やっぱ行かせないようにするか…?

「じゃあ、奏多。
行ってくるね!」
「ちょっと待った!!」
「え?何?」
「俺も一緒に……」
「は?今日は女性だけって言ったでしょ?
だから、ダメ!」
「……でも、ボディーガードとしてとかなら……」
「ダメ!散々話したでしょ?」

今日は近くの夏祭りがあるとかで、華恋が友達と行く日。
結構前に、行きたいと言われ散々話しあった。
駄々をこねる俺に、華恋は時間をかけて説得してきたのだ。
これじゃあ、子ども扱いされてもおかしくねぇな。
「でも、なんで浴衣で行くんだよ!?」
「祭りだし!浴衣着たいもん」
まさかこんな可愛いとは思わなかった。

「だからって……」
「もう時間ないから、行くね!」
そう言って、出ていってしまった。
「じゃあ、せめて送る!」
俺も急いで追いかけた。

「どこで、待ち合わせ?」
「◯◯公園だよ!」
「あー、あのデカイ?」
「うん」
公園の前で、別れた。
「何かあった時とか、帰る時ぜーったい電話しろよ?」
「うん、わかってるよ」

行っちゃたよ……。
てか、ほんとに大丈夫なのか……?
あんな可愛い華恋がいて、女だけだし。

「やっぱこの辺、うろうろするか!」
「あれ~?奏多?」
「あ、翼達じゃん!」
「奏多一人?
…な訳ねぇよな?華恋ちゃんと一緒なんだろ?どこ?華恋ちゃん。やっぱ浴衣?見たい!」
「ちげーよ……」
「怖ぇよ……ほんとに一人かよ……。
でも、なんで?」
俺は今回のことを簡単に説明した。
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