俺と妻と傷口

【パーティー】

「お待たせ、奏多」
「………ねぇ…」
「ん?」
「その格好……」
「え?」
「ダメだろ…!」
「え…そう?これが一番適切だと思ったんだけどな……そんな似合わない?」
「そうじゃねぇよ!」
「は?」
「凄く綺麗…!でもなんか他にもっと素肌が隠れる様なヤツないの?」
「は?これ以上隠れるのなんて、普通ないよ?
それにもう時間ないし…。
加我さん待ってるよ!早く行かなきゃ!」
そう言って俺の横をすり抜け、靴を履こうとする華恋。
それを後ろから抱き締めた。

「ちょっと…奏多!離して?」
「やだ!やっぱ行くのやめよ!行きたくない!」
こんな可愛くて、綺麗な華恋が俺以外の社員に見られる。
そう考えるだけで、嫉妬で狂いそうだ。

「もう///やめて?そんな駄々っ子みたいなこと言うの!」
「はぁーだよな…」
だから、可愛いって華恋にも子ども扱いされる。
「行こう。奏多」

「お疲れ様です。奏多様、華恋様」
「加我さん、お疲れ様です!遅くなってすみません」
「いえ////」
加我の顔が少し赤くなり、また言い様のない嫉妬心が顔を出した。

「加我、早くドア開けろ!」
「ちょっと、奏多!そんな言い方……」
「いえ、どうぞ」
「早く!華恋乗って!」
華恋を先に乗せ、俺も横に乗った。

「華恋」
「ん?
━━━━ンンン……!」
今のうちに、華恋を感じておかないと………
そんな思いで、夢中で口唇を貪った。
いつもの甘い華恋の口唇ではなく、華恋のつけているリップの苦い味がする。
それでも、離せない。

華恋が好きすぎて………
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