カタブツ竜王の過保護な求婚
ラベロはレイナが宮殿に引き取られたときからそばにいてくれた近衛騎士だ。
もういい年だからと引退を考えていたところへユストリス国へレイナが嫁ぐことが決まり、余生をのんびり過ごしている場合じゃないと奮起して、かなり若返った。
レイナに接するときは、忠誠を誓った騎士というよりは、まるで孫を見守る甘いおじいちゃんといった感じなのだが。
「朝は王城の東棟にある騎士の詰め所で鍛練しているそうね?」
「そ、それは、その、その通りですが……ですが……」
「いやだわ、ラベロってば。別にその鍛錬に参加したいって思っているわけじゃないのよ?」
「で、ですよなあ」
ラベロはあからさまに安堵して、ガハハと豪快に笑った。
しかし、にっこり笑んだままのレイナを見て真顔に戻る。
「……何を企んでいるのです?」
「騎士たちの鍛練の前に、騎士見習いの鍛錬があるって聞いたわ」
「ダメです」
「まだ何も言ってないわよ」
「絶対にダメです!」
今度はアンヌとノーラともう一人の近衛騎士も加わって、反対の声をあげる。