カタブツ竜王の過保護な求婚

 だがレイナは庇ってくれたことに感謝こそすれ、怒る理由などなかった。
 ただそれをどう伝えるべきかと迷う。


「その……確かに、レグルお兄様に――陛下に頭を下げさせてしまったことは問題かもしれませんが……でも本音を言うと嬉しかったです」

「嬉しかった?」

「あ、その、薄情なのはわかっています。でも、えっと、……辺境の伯爵家に嫁いだ母は否かは嫌だとずっと王都におりましたし……。王宮にやってきても陛下は――いえ、先王陛下は私に関心を持たれませんでしたから……あ、でもレグルお兄様――陛下はできる限り外に連れ出してくださいましたが、お忙しい方ですのであまり……。あの、私、家族が欲しかったんです」

「家族?」

「はい。ですから、カイン様と結婚して家族になれることを楽しみにしておりました」


 ルルベラのことにはあえて触れなかった。
 それよりも初めは躓いてしまったが、これからの結婚生活のことを話したくなったのだ。
 番にはなれなくても家族にはなれるのだから。
 一昨日のカインの言葉を胸に、レイナは精いっぱい微笑んでみせた。
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