この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~
何度すれ違っても

別れ


 竜平は結局、フランクフルトに飛んだ。

綾子や母の美保子に傷つけられた静の事が気になって
居ても立っても居られなかったが、ここで仕事を放りだす訳にはいかない。
今の肩書を守るためには自分で動くしかないと思ったのだ。

竜平は何度か静と話をしようと電話を架けたが、
祖母の病院にずっと詰めている彼女には繋がらない。

白河も静の気持ちを汲んだのか、竜平に二度と連絡するまいと決めていた。
その為、彼に松子の容態が伝わる事はなかった。


竜平は仕事を優先する事を決めた。
自分が現地に出張しても、三週間以上はかかる案件だが、
他の人間に任せる気にはならない。この契約をやり遂げる自信はあった。

静に会うためには、何とか早く切り上げるしかない。
彼女と連絡はつかないし、メッセージにも返事は無いまま…。
彼は焦る気持ちを無理やり抑え込んで、飛行機に乗った。

そして、想いを振り切るように仕事に没頭していった。

結局、ひと月近くをドイツで過ごしが、
静に何から話せば良いのか考えは纏まらないままだった





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