この恋の始まりはあの日から~何度すれ違っても、君を愛す~

緋色


 白河が言っていた正門横のくぐり戸は簡単に開いた。
竜平は思い切って中に入ると、ぐるりと屋敷を迂回して庭に出た。

木々が色付き始めていた。懐かしい景色が竜平を迎えてくれる。

ニシキギ
マユミ
イロハモミジ

これからの季節に美しい庭木だ


勝手口は開いており、屋敷にも入れた。
松子が大切にしていた黒檀や紫檀の家具などは残されていたが
どの和室も空気が薄く感じる。人気が無いせいか…。


学生時代入り浸っていた恒一郎の書斎。長い廊下。
静がピンと背筋を伸ばして花を活けていた華道教室の大広間。

何もかもが懐かしい。

幼い静と初めてぶつかった、廊下の曲がり角。
その先は広縁のある座敷。よく、静とお喋りした和室だ。

襖を開けた。

すると、広縁に近い座敷の端に静が佇んでいた。
こちらに背を向けて、じっと庭を見つめている。

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