―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
それが怪しすぎてかえって金子さんの興味に火をつけたのだろう。
しつこく追ってくるので、やむを得ず自宅に逃げ込んだのだという。

「ここ、コーチの家?」
「そう、うち」

龍道コーチに続いてとりあえず外に出た透子は周りを見渡した。
広い駐車場の先にはどこまで続いているのかわからない広い庭が広がっている。
いくら人気ナンバーワンコーチでも、こんなすごい家に住めるとは思えない。

「お父さん、何している人? あ、それよりなんでついでに私を送ってくれるわけ?」
「後で説明するからさ、とりあえずうちでお茶でも飲もう。そのあと送っていくよ」
「え、コーチの部屋で?」

もしかして龍道コーチは新しい生徒が入るともれなく自宅に誘っているのかもしれない。
しかしドラゴンウエイの昼間の生徒は年齢層が高い。黙っていても若くてきれいな女が群がるモデルのようなルックスの男がわざわざ見境なくきれいでも何でもない中年女性をナンパするメリットは何も考えられない。逆に誘われたいと思っている生徒がほとんどだろう。しかし、もしや許容範囲が全女性の99.9%くらいに広いのかもしれない。

「部屋っていうか、うち。一人暮らしじゃないからお茶は入れてもらえる。あ、もしかしてなんか期待したとか」
「してません。警戒しただけです」
透子は慌てて否定した。
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