【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



 その後、お互いの両親に結婚の挨拶と、そして今わたしが妊娠していることを報告したわたしたちは、無事に入籍を済ませた。

 わたしの両親は、最初妊娠したことを話した時、泣いていた。 それは、わたしが妊娠したことを怒っているからだと最初は思っていた。……だけどそれは、怒っているからじゃなかった。

 わたしが純粋に誰かを想い、そしてその誰かのために生きたいと思えることを、喜んでいたからだった。 わたしが失踪した恋人のことを、今でもずっと忘れられないんじゃないかと思っていた両親は、わたしの妊娠と結婚をとても喜んでくれていた。

 両親は奏人の顔を知らない。知っているのは、わたしが交際していた男性が突然失踪したことだけ。咲哉さんが奏人と同じ顔をしているということ、両親は知らない。……そんなことを言えるわけがない。

 だけど、両親はわたしが幸せになってくれることをずっと願っていた。だからこそ、こうして幸せになれることが嬉しいんだなと思った。
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