【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



 戸惑いを隠せないわたしをよそに、警察の人はそう言葉を続けた。 だけどわたしは真実を聞いても、すぐには受け入れられなかった。

「……不慮の、事故?」

「はい。ですが事故だと判断しきれない部分もありますので、なんとも言えませんが……。恐らく自殺ではないと思います。 もし自殺だとしても遺書のようなものはありませんでしたし、そういった形跡も見られませんでしたので……」

 朝倉という刑事は、そう言って言葉を更に続けた。

「小田原さんの衣服や持ち物も海の底からなんとか押収することが出来ましたが……。すでにボロボロの状態でした。 しかしたったひとつだけ、彼の衣服の中に入っていたものがありまして……」

「……入っていた、もの?」

 それはなんなのだろうか……。10年経った今、そんな真実を知ることになるなんて、思ってもいなかった。

「はい。結婚指輪です」

「……え? 結婚……指輪?」

 その言葉を聞いて驚きを隠せなかった。 たったひとつだけ見つかったものが、結婚指輪……?
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