【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
「奈都は、子供好きか?」
と、五月女社長は聞いてきた。わたしはそんな五月女社長の目を見つめながら「好きですよ」と答えた。
「そうか。好きか」
「はい。……好きです」
子供は昔から好きだった。可愛いし、癒やされる。……本当だったらわたしは、奏人と失踪してなければ、奏人と結婚して子供が何人かいたかもしれない。
そんなことを思ってしまうのも。きっと今隣に奏人と同じ顔をした五月女社長がいるからだと思う。
「……なぁ、奈都」
「はい」
子供が走り回っている姿を見ながら、五月女社長はわたしの名前を呼んだ。わたしは五月女社長の方に視線を向けた。
「奈都、また俺とデートしてくれないか?」
「……え?」
真剣な眼差しの五月女社長の視線に、わたしは目を逸らすことが出来なかった。
「もちろん、奈都がイヤなら無理にとは言わない。……だけどもし可能なら、また俺とデートしてほしい」
またデートしてほしいなんて、言われると思ってなかったから、正直驚いた。