【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
第三章

過ちと嫉妬




「……奈都」

「さく……やさん……」

 その日の夜、わたしは五月女社長の部屋に上がり込んだ。そしてそのまま、寝室のベッドの上にふたり倒れ込んだ。

「奈都、今だけでいい。……今だけでいいから、俺のことを見て」

 そう言われたわたしは、彼と視線を交わした後、そのまま口付けを交わした。甘く優しく重なるその唇は、だんだんと深くなり、呼吸するのを忘れるくらい激しさを増した。

「っ、咲哉さ……」

「奈都……」

 首すじに口付けをしながら、五月女社長はそっとわたしの名前を呼んだ。

「……奈都」

 彼に奈都と呼ばれる度に、わたしの心と体は、甘く反応する。心がときめいて、そしてキュッとなって……。恥ずかしさよりも、緊張などの方が大きかった。

 髪や頬を撫でられ、何度も啄む(ついばむ)ようにキスをされて、わたしの心はもう完全に彼の体に支配されていた。

 それからはお互いに酔っていたせいか、あまり覚えていない。ただ一つ覚えているのは、彼の腕に甘く激しく抱かれたことだけだ。
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