【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
しばらくしてわたしは、藍那のおかげで少し落ち着いた。
「……藍那、ありがとう」
「ううん。ちょっとでも元気になって、良かった」
「……もう少し落ち着いたらでいいから。何があって落ち込んでるのか、わたしには教えてね?」
「…………。うん」
藍那にだけは、話さないと……。とりあえず、藍那にだけは話しておきたい。もし五月女さんが、本当に失踪した奏人だったら……。って考えると、そばで支えてくれる人が必要だから。
そしてその日の午後。部長に書類の整理を頼まれたわたしは、保管庫に向かうため歩いていた。
その時だった。……わたしの目の前に、彼が現れたのは。
「……え?」
なんで? なんで五月女社長が……?
そう考えるだけで、体が急に動かなくなった。地面に磁石でも埋め込まれているのではないかと思うくらいに、動かなくなった。
そんなわたしのことなんて気にする様子もなく、五月女社長はどんどん歩いてくる。それだけでわたしは、心拍数が上がっていくのが分かる。