【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



 と、藍那は扇風機の風を浴びながら言った。

「じゃあわたしも、買おうかな?」

 明日休みだから、買いに行ってみようかな?なんて思ったりした。

「買ったほうがいいよ」

「うん、そうする」

「それより、五月女社長とはどうなの?」

 藍那が資料をホッチキスで止めながらそう言ってきた。

「うん。 まぁ、それなりにはうまくいってるよ?」

 最近は半同棲ではないけど、よく咲哉さんの家に泊まったりしている。むしろ、最近は咲哉さんの家に泊まってることの方が、多い気がしないでもない……。

「そう?良かったじゃない。うまくいってるなら」

「……うん。最近は本当に、幸せだと思ってるよ」

 失踪した奏人のことを、今でも忘れられない自分が本当にイヤだと思っていた。……だけどそんなわたしに、咲哉さんはムリして忘れなくてもいいと言ってくれた。 その言葉が、わたしにとっては、何よりも胸に響いたのは確かだった。

「……わたし今なら、咲哉さんとだったら幸せになれる気がする」
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