騎士(ナイト)に チェックメイト
まだ明るい帰り道。
イヤホンから流れる洋楽に気を取られていた。
ギュッ
「へっ」
急に右腕に違和感。
縄・・・?
その縄の先には、黒いキャップを被りよれた白いTシャツに黒いジャージの知らない男が私に繋がれた縄の反対側を持っていた。
「ふふふ、捕まえた。」
そう言ってニヤッと笑う顔。
「えっ、、、やめてください!」
縄を外そうと腕を引くと余計に手首を締め付けた。
「いたっ、ちょっと本当やめて」
「あんまり引っ張ると血が出ちゃうよ?」
「ヤダっ、誰か、誰か助けてーっ」
こういう時声が出ないと言うけれど、あのときは無我夢中で助けを求めた。恥ずかしいとかそんな事微塵も思わず手足をバタつかせ大声をあげた。