騎士(ナイト)に チェックメイト


人がたくさんいるホーム。

幸い樹くんは背が高いから目立つ。



早歩きで人の波を避けて樹くんの背中を見失わないように着いていく。


そんな私に気づいたのか、




「はぐれんなよ」


そういって右手を差し出された。


「うん」


そっと左手でその手を掴むとグイッと引っぱってくれた。


左手は樹くんと繋いでいて、右手はその樹くんの腕を掴む。

こんだけくっついていれば離れたくても離れられないだろう。






こんなにスマートにエスコートしてくれる樹くんはどっかの国の王子様なのだろうか。


だって普通恥ずかしくてこんなことできないよ。









あぁ、そうか。





何とも思ってないから出来るのか。




本当にただの友達。


ただそれだけ。






歩きながらそんな事を考え、勝手に少し落ち込んだ。



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