騎士(ナイト)に チェックメイト



俯いて歩く人が目につく月曜日。

さくらもそのうちのひとりだ。


校門には生徒指導の先生がジャージ姿で立っている。


「おはようございます」


聞こえるであろう声で一応挨拶。

返事なんか聞く気はさらさらなく、そそくさと下駄箱へ。



「あ、時枝くんおはよう」


「先輩、おはようっす。
あの、時枝くんってなんか呼ばれなれないんすけど...」


「ん? じゃあ樹くん?」

「その方がいいっす」


「樹くんは"先輩"としか呼ばないじゃん。
絶対名前忘れてるっしょ」

「いやいや、さくらっしょ?覚えてるよ」

「こら、呼び捨てするなーっ」

「ははっやだねー」




なんだか弟の様な振る舞いの樹くんが可愛くて、ちゃんと学校来て良かったと心が弾んだ。



< 7 / 107 >

この作品をシェア

pagetop