騎士(ナイト)に チェックメイト
俯いて歩く人が目につく月曜日。
さくらもそのうちのひとりだ。
校門には生徒指導の先生がジャージ姿で立っている。
「おはようございます」
聞こえるであろう声で一応挨拶。
返事なんか聞く気はさらさらなく、そそくさと下駄箱へ。
「あ、時枝くんおはよう」
「先輩、おはようっす。
あの、時枝くんってなんか呼ばれなれないんすけど...」
「ん? じゃあ樹くん?」
「その方がいいっす」
「樹くんは"先輩"としか呼ばないじゃん。
絶対名前忘れてるっしょ」
「いやいや、さくらっしょ?覚えてるよ」
「こら、呼び捨てするなーっ」
「ははっやだねー」
なんだか弟の様な振る舞いの樹くんが可愛くて、ちゃんと学校来て良かったと心が弾んだ。